名家の呪縛を越えた寛一郎、孤高の怪演が日本映画界を揺さぶる理由
彼の名を広く世に知らしめたのは、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』における公暁役だろう。雪の鶴岡八幡宮で源実朝を討ち果たす場面は、大河ドラマ史に深く刻まれる怪演となった。復讐の炎に身を焦がし、哀しみと狂気の狭間で息絶える青年の姿は、様式美に縛られがちな時代劇の枠組みを根底から揺さぶった。
台詞回しの巧拙ではない。張り詰めた筋肉、血走った眼、息を呑むような太刀筋。言葉以前の肉体そのもので感情を吐露する身体性こそが、この若き表現者の真骨頂だ。伝統的な時代劇の呼吸を理解した上で、それを生々しい現代の痛覚として再構築する。その手腕に、目の肥えた映画人たちが色めき立つのも必然といえる。