少女と老婆に隠された脳の罠!見方で変わる絵の正体と心理テストの真相
同じ絵を同時に見せられているにもかかわらず、ある人は「どう見ても少女にしか見えない」と言い、別の人は「一瞬で老婆だと分かった」と主張する——。この見え方が違う理由には、人間の脳が持つ高度な予測機能が深く関係しています。
脳が視覚情報を処理するルートには、目から入った生データをそのまま組み立てる「ボトムアップ処理」と、過去の記憶や文脈、期待に基づいて像を補正・予測する「トップダウン処理」の2つが存在します。多義図形を見た瞬間、脳はトップダウン処理をフル回転させ、「直前にどんな文脈にいたか」を手がかりに像を解釈しようとします。
ここで強力に働くのが「プライミング効果(先行刺激による影響)」です。例えば、実験の直前に可愛い動物の写真を見せられていた人は『アヒルとウサギ』をウサギと認識しやすく、鳥の鳴き声を聞かされていた人はアヒルと認識しやすくなります。
さらに、オーストラリアのフリンダース大学が行った有名な研究では、鑑賞者の実年齢が認識に影響を与えるという興味深い結果が示されています。393人の被験者に『少女と老婆』を見せたところ、18歳〜30歳の若年層は「若い女性」を最初に見る確率が有意に高く、68歳以上の高齢層は「老婆」を最初に見る確率が高かったのです。人間は無意識のうちに、自分自身と属性が近いものや日常的に接触頻度が高い対象を優先して認識するバイアスを持っています。