スキーウェアの下は何を着る?ヒートテックNgの理由と正解レイヤリング
雪山に出かける際、「寒いから一番暖かいヒートテックを着ていこう」と考える方は少なくありません。しかし、スキーインストラクターや山岳ガイドなどの現場の専門家は、日常用発熱インナーの着用に強い警鐘を鳴らしています。その理由は、ヒートテックをはじめとする一般的な日常用発熱インナーの素材特性とスキーというスポーツの運動量のギャップにあります。
日常用発熱インナーの多くは、肌から蒸発する微量な水蒸気を吸収して発熱する「レーヨン」という繊維を主成分にしています。レーヨンは優れた吸湿発熱性を持つ一方で、「水分を含むと乾きにくい(保水性が高い)」という致命的な弱点を抱えています。スキーは氷点下の環境で行うスポーツですが、滑走時やリフト待ちでの移動、転倒からの起き上がりなどで、想像以上に大量の汗をかきます。
運動によって多量に噴き出した汗をレーヨン繊維が吸いきれなくなると、繊維自体が汗を抱え込んでビショビショに濡れた状態が続きます。その水分を含んだインナーが、リフト乗車中や強風に晒された瞬間に一気に体温を奪い去る現象、これこそがスキーヤーを襲う「汗冷え(低体温化のリスク)」です。ゲレンデ現場のパトロール隊員からも「リフト上で急激な悪寒を訴える初心者の大半が、インナーの汗冷えによるものだった」という証言が数多く寄せられています。したがって、スキーの汗冷え対策インナーとしては、保水しやすい日常用発熱インナーは絶対に避けるべきとされているのです。