菅義偉氏の弔辞が呼んだ涙の真相|山県有朋の歌と知られざる執筆秘話
あまりの完成度と感情の深さから、放送直後には「スピーチライターの手によるものか」「誰が書いたのか」といった関心が集まりました。しかし、明かされた真相は、菅義偉氏自身の直観と読書体験から生まれたものでした。
国葬の数日前、菅氏は自らの手で思いをまとめようと苦心していました。その過程で思い起こされたのが、かつて銀座の本屋に立ち寄った際に購入した歴史書(伊藤之雄氏の評伝『山県有朋』など)の存在でした。菅氏は移動の新幹線や議員宿舎で貪るように本を読み進める中で、山県が桂の死に際して詠んだこの短歌に出会い、深く心を打たれてページの端を折(ドッグイヤー)っていたのです。
「あの歌しかない」――菅氏は自らその本を探し出し、盟友への別れの言葉として組み込むことを決めました。元秘書官ら側近の手を借りて推敲を重ねたものの、根底に流れる熱量、引用の選定、そして安倍氏へ語りかける素朴で力強い文体は、菅氏本人の内面から湧き出たものでした。