積水ハウス地面師事件の全貌|55億円騙された真相と主犯格の現在
積水ハウス地面師事件の手口は、各分野のスペシャリストが役割分担して獲物を仕留める、極めて組織的かつ劇場型のプロの手によるものでした。グループは以下のような偽装工作を何重にも張り巡らせていました。
第一の壁となったのが、徹底した「なりすまし」です。元女将役として仕立て上げられたのは、風俗店などで働いていた女性でした。グループは彼女に女将の生年月日、干支、家族構成、近隣住民の人間関係などを徹底的に暗記させ、不動産業者や司法書士との面談をクリアさせました。
さらに本人確認の要となる偽造パスポートは、ブラックライトを当てても偽造と気づきにくい精巧なホログラム加工が施されていました。土地の権利証(登記済証)がないことに対しては「紛失したため事前通知制度を利用する」という正規の不動産登記手続きを逆手に取り、時間稼ぎを行いました。
決済の場となった銀行の一室では、偽造された印鑑証明書や実印が次々と提示され、厳格なはずの本人確認審査をいとも容易くすり抜けてしまったのです。司法書士や法務担当者が立ち会いながらも、偽造書類の完成度の高さと、詐欺グループが醸し出す「早く取引を終えたい高齢の地主」という迫真の演技が、相手の疑念を打ち消しました。