『ロボット・イン・ザ・ガーデン』心震わす再生劇の結末と評判の真相
物語の発端は、イギリスの片田舎にある自宅の庭(ガーデン)でした。両親の不慮の死をきっかけに獣医の職を辞め、無気力な日々を送っていた主人公・ベン。弁護士として多忙に働く妻・エイミーとの夫婦仲は冷え切っており、ある朝、自宅の庭に金属製の旧式ロボットが佇んでいるのを発見します。胸に「タング」と刻まれたそのロボットは、塗装が剥げ落ち、胴体には四角い穴が開き、シリンダーからはオイルが漏れ出しているという、見るからにスクラップ寸前の有様でした。
エイミーは即座に廃棄処分を求めますが、ベンはなぜかタングを捨て去ることができず、業を煮やしたエイミーは三行半を突きつけて家を出て行ってしまいます。妻を取り戻すため、そしてタングの生みの親である製作者を見つけ出して修理してもらうため、ベンとタングの奇妙な二人旅が幕を開けます。舞台はイギリスから、最先端ロボット技術が集まるアメリカ・カリフォルニア、さらには日本の東京、秋葉原、そして北九州へと移り変わっていきます。
旅の過程で明らかになるのは、タングが単なる機械ではなく、天才ロボット工学者ボロス博士によって創り出された「心と学習能力を持つ唯一無二のプロトタイプ」であったという事実でした。物語のクライマックスにおいて、ベンはボロス博士の研究所を突き止めますが、博士はすでに他界しており、タングの設計思想を受け継いだ人物と対峙することになります。そこでタングがベンを守るために自らを犠牲にしかける劇的な危機を経て、ベンは「修理によってタングの記憶や個性が消去されるリスク」を拒絶し、不完全なままのタングを家族として愛し抜く道を選択します。
帰国後、成長を遂げたベンはエイミーと再会。自身の弱さと向き合い、他者を慈しむ心を取り戻したベンの変化を目の当たりにしたエイミーは、彼を受け入れます。ラストでは、エイミーの妊娠が発覚し、ベン、エイミー、そしてタングの3人が「新たな家族の形」を踏み出す温かな大団円を迎えます。壊れかけのロボットを救うはずの旅が、実は傷ついた大人の男を救う旅であったという逆転の構造こそが、本作の美しい結末です。