日本に北朝鮮大使館はあるのか?朝鮮総連との違いと在外公館の実態
海外に駐在する北朝鮮外交官を取り巻く実態は、一般的な外交官の優雅な生活とはかけ離れています。本国からの運営活動費の送金がほぼ途絶えているため、在外公館には自給自足だけでなく、本国へ外貨を上納する過酷なノルマが課せられています。
国連安保理の調査報告書や報道各社の取材データによると、北朝鮮大使館の資金源の真相には驚くべき手口が含まれています。東欧や中東では公館の空き部屋を無許可で外部企業やホステルに転貸して家賃収入を得たり、免税特権を利用して高級酒やタバコ、貴金属を密輸・転売するケースが後を絶ちません。
こうした極限状態から、近年ではエリート外交官の脱出が相次いでいます。2016年にロンドンから韓国へ亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は、自著やメディアのインタビューで次のように証言しています。
「ロンドンの外交官宿舎では、1ポンドの支出さえ削るために公用車を使わず地下鉄で移動し、スーパーのセール品を探し歩いた。本国からの上納金要求と、自由な世界で育つ子どもの将来を秤にかけたとき、体制への忠誠心は完全に崩壊した。」
さらに2019年の駐イタリア代理大使の亡命や、中東・キューバからの高官亡命など、北朝鮮外交官の亡命経緯を辿ると、本国の締め付け強化と資金獲得ノルマの破綻が引き金になっている構造が明白です。
一方、日本国内でも資金繰りの悪化は顕著です。バブル崩壊後の朝銀信用組合の破綻に伴い、巨額の公的資金(約1兆4,000億円規模の債権)を抱えた整理回収機構により、千代田区の朝鮮総連本部ビルの売却問題へと発展しました。宗教法人や外資系ファンドを巻き込んだ競売劇と法廷闘争の末、現在は転売先からの賃貸契約という異例の形で使用を継続していますが、かつて潤沢だった資金力の大幅な低下を象徴する出来事となっています。