飛行機のブラックボックスはなぜ黒くない?仕組みと驚異の耐久性を徹底解説
旅客機を見上げたとき、ブラックボックスがどこに積まれているかご存知でしょうか。コックピットの機器だから操縦席の足元にあると思われがちですが、実際には「客室最後部の天井裏」や「垂直尾翼の構造内部」に設置されています。
これには、航空事故における破壊エネルギーの伝播という物理学的・統計学的な理由が存在します。
航空機が地面や海面に激突する際、ほとんどのケースにおいて機首(ノーズ)や主翼から接触します。その瞬間、機体前方から中央部にかけてのフレームが粉砕されながら衝撃エネルギーを吸収する「クシャブルゾーン(緩衝帯)」として機能します。その結果、物理的に最も破壊のエネルギーが減衰し、原型を留めやすい場所が機体最後尾の尾翼部分になるのです。
事故調査の現場に長年携わってきた元調査官の手記や証言においても、「墜落現場で機体全体が原形を留めないほど四散していても、垂直尾翼周辺の構造物だけは比較的大きな塊で残存していることが多い」と語られています。過酷なクラッシュからデータを生還させるため、力学的に最も生存率の高い場所が選ばれ続けているのです。