乳癌トリプルネガティブは「治らない」のか?難治と言われる決定的理由と2026年最新治療・生存率の真実
乳癌は、がん細胞の表面にあるタンパク質の状態によって大きく分類されます。検査で確認される主な標的は、女性ホルモンに関わる「エストロゲン受容体(ER)」と「プロゲステロン受容体(PgR)」、そして増殖因子である「HER2」の3つです。
この3つがすべて陰性(ネガティブ)である場合を、トリプルネガティブ乳癌と呼びます。ここで誤解してはいけないのは、「陰性=悪性度が高い」という単純な図式ではないという点です。陰性であることの本質的な問題は、他の乳癌であれば有効な「ホルモン療法」と「HER2を狙う分子標的治療」という、2つの強力な武器を最初から使えないことにあるのです。
乳腺外科医の間では、トリプルネガティブ乳癌はさらに細分化されつつあります。遺伝子発現解析が進み、基底細胞様(Basal-like)タイプや、免疫関連遺伝子の発現が高いタイプなど、実は一枚岩ではないことが分かってきました。この多様性こそが、同じ治療を受けても患者ごとに反応性が異なる理由の一つであり、近年の治療戦略を複雑かつ高度にしている要因です。