米軍が恐れた潜水空母「伊400」の真相|極秘沈没の理由と海底の遺構
「初めて伊400の巨体を目にした米海軍技術将校たちは、その異様なスケールと先進的な構造に言葉を失った」――戦後に作成された米海軍の接収調査報告書には、驚愕と当惑が赤裸々に記録されています。伊四百型潜水艦(潜特型)の最大の特徴は、潜水艦でありながら本格的な航空攻撃力を内包していた点にあります。
発案者は真珠湾攻撃を指揮した連合艦隊司令長官・山本五十六でした。開戦直後の1942年、山本五十六潜水空母構想として「アメリカ西海岸の重要都市やパナマ運河を隠密裏に叩く戦略兵器」の具現化を海軍軍令部に命じたことが開発の発端です。当初は艦載機2機搭載の計画でしたが、要求性能は引き上げられ、最終的に3機搭載可能な設計へと拡大されました。
搭載機として専用開発されたのが、愛知航空機が手がけた特殊攻撃機晴嵐です。晴嵐は主翼を左右に折りたたみ、水平・垂直尾翼を油圧で下方に折りたたむことで、内径約3.5メートル、全長約37メートルの円筒形格納筒に3機が直列で収まる驚異的なギミックを備えていました。さらに浮舟(フロート)を着脱式とし、緊急発進時にはフロートなしで800kg爆弾または魚雷を懸架したままカタパルト射出できる設計となっていました。水上に浮上後、わずか十数分で3機全機を射出する運用手順が確立されており、現代の巡航ミサイル原潜に通じるスタンドオフ攻撃の原型がここに完成していたのです。
船体構造も独創的でした。巨大な飛行機格納筒を上甲板に背負うため、復原性を確保する目的で耐圧船体を横に2つ並べたような「メガネ型(8の字型)断面」を採用。さらに当時の日本のディーゼルエンジン技術を結集し、無寄港で地球を1周半航行できる3万7,500海里(約6万9,400km)の超長大な航続力を誇りました。これは世界のあらゆる海洋を無補給で往復できることを意味しており、米軍防空網の間隙を縫って奇襲を仕掛ける戦略プラットフォームとして世界最大級潜水艦歴史的評価を確立しています。