松本幸四郎と松たか子の血脈|高麗屋の家系図と知られざる兄妹の絆
厳しい稽古と格式に縛られるイメージが強い梨園ですが、家庭内における兄妹の関係性は驚くほど気さくで温かなものでした。テレビの特番インタビューや過去の対談番組で明かされたところによると、松たか子は幼少期、兄の幸四郎を本名から取って「てるくん」、あるいは自然に「お兄ちゃん」と呼んで育ちました。幸四郎側も妹を「たか子」「たか」と呼び、4歳という絶妙な年齢差もあって、兄が妹をからかいながらも可愛がる関係性が続いていたといいます。
特にファンの間で有名なのが、少年時代の幸四郎の部屋にまつわる逸話です。自分のテリトリーを大切にしていた幸四郎の部屋へ、幼い松たか子が無邪気に入り込んではおもちゃや本を散らかし、兄に本気で怒られて逃げ出すという、どこにでもある微笑ましい光景が繰り広げられていました。
大人になり、それぞれが多忙を極めるようになってからもその信頼関係は揺らぎません。松たか子が第65回NHK紅白歌合戦で劇中歌を圧巻の生歌唱で披露した際、兄の幸四郎はテレビの前で正座しながら妹の晴れ舞台を見届け、無事に歌い終えた瞬間に涙を流したという証言は、梨園関係者の間でも語り草となっています。互いの舞台公演には必ず花を贈り、都合がつけば客席から熱い視線を送る。ベタベタと群れることはないものの、表現者としての痛みを誰よりも共有できる、最もピュアな「戦友」のような絆がそこにはあります。