土俵を去っても愛される「パンヤン」の現在地——角界の名バイプレイヤーが切り拓く令和相撲界の新境地

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日本大学相撲部から角界へ飛び込んだ彼の歩みは、順風満帆とは程遠いものだった。関取に昇進したものの、度重なる怪我によって幕下、さらには三段目へと転落。多くの力士が引退を決意するような厳しい局面においても、彼は密かに牙を研ぎ続けた。土俵上での鋭い出足と、両差しからのしぶとい寄りは、対戦相手にとって実に厄介な脅威となったのだ。

35歳を過ぎてからの幕内再入幕は、相撲ファンに大きな衝撃と勇気を与えた。ベテランならではの味を感じさせる取組と、観客を一瞬で味方につける独特の佇まい。土俵に上がるだけで会場の雰囲気をパッと明るく変えられる力士は、長い角界の歴史を見渡してもそう多くはない。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。