サンタナ『Maria Maria』誕生秘話!グラミー賞の舞台裏
世紀末の混沌が漂う1990年代後半、アリスタ・レコードの総帥クライヴ・デイヴィスはある大胆な構想を描いていた。往年の名ギタリストであるカルロス・サンタナと、気鋭の若手プロデューサー陣による全面コラボレーションだ。そこで白羽の矢が立ったのが、ヒップホップグループ「フージーズ」の頭脳として名を馳せていたワイクリフ・ジョンだった。
スタジオに持ち込まれたのは、映画『ウエスト・サイド物語』の現代版とも言える、ゲットーで生きる女性「マリア」の過酷な日常を描いたスケッチ。ワイクリフの手腕により、跳ねるようなヒップホップのドラムループに、哀愁漂うスパニッシュギターの旋律が重ねられていく。ボーカルには無名の新人R&Bデュオだったザ・プロダクト G&Bが起用され、切なくも力強い歌声が吹き込まれた。
カルロス・サンタナがスタジオでギターを手にした時、奇跡が起きた。楽譜や綿密な指示など存在しない。彼はビートに身を委ね、心のおもむくままに指を走らせた。わずか数テイクで録音されたそのトラックこそが、後に世界中を熱狂させる『Maria Maria』の原型となったのだ。