ナンシー・フレイザー思想の核心|承認と再配分、ケアの危機を読み解く
難解なドイツ観念論やポスト構造主義のジャーゴンに偏らず、切れ味鋭い論理構成が魅力のフレイザーですが、初めて触れる読者には明確な読書ステップが存在します。彼女の主著とおすすめの入り口を整理しました。
① 入門編:『99%のためのフェミニズム宣言』(人文書院)
薄いブックレットながら、フレイザー思想のエッセンスと現状への怒りが凝縮された必読書。専門用語が少なく、現代フェミニズムの到達点を一気に掴むことができます。
② 理論深化編:『承認か再配分か?―政治・哲学論争』(法政大学出版局)
アクセル・ホネットとの白熱した対論。アイデンティティを重んじる文化左派と、格差是正を叫ぶ経済左派のすれ違いをどのように解決すべきかが明晰に語られます。
③ 総合・集大成編:『食い尽くす資本主義』(ちくま新書/原題: Cannibal Capitalism)
ケア、気候変動、人種差別、民主主義の危機をすべて「資本主義の生態系破壊」として包括的に解き明かした傑作。現代社会のあらゆる行き詰まりを一望できる決定版です。