なぜ聖域は女性を拒むのか?大相撲と霊峰が揺れる伝統の境界線
国内の摩擦にとどまらず、いまや問題は国際機関を巻き込んだ外交・人権問題へと発展している。ジュネーブの国連女子差別撤廃委員会は、定期審査の場において日本政府に対し、公的空間や公認団体における女性排除の慣習を是正するよう度々勧告を行ってきた。相撲の土俵や世界遺産に登録された霊場での制限は、明確なジェンダー不平等であるという国際的なコンセンサスが形成されつつある。
これに対し、伝統文化の保護を所管する文化庁の立場は極めて苦しい。信仰の自由や無形文化財の保護を盾に民間の宗教的決定へ国家が直接介入することを避けつつも、国際社会からの人権批判を無視することはできない。「信教の自由」と「人権保障」という二つの憲法上の価値が真正面から激突する中、政府は明確な指針を示せないまま、事態の推移を静観する構図が続いている。