函館・トラピスチヌ修道院の真実|非公開エリアの謎と修道女の祈りの日常
多くの来訪者が抱く「なぜ修道院の建物内部は見学できないのか」という疑問。その理由は、厳律シトー会が実践する「教皇囲壁(エンクロージャー)」と呼ばれる厳格な空間分離の規律にあります。修道女たちは一生涯を神への祈りに捧げる誓願を立てており、外部の喧騒や俗世の価値観から離れて神と向き合うため、居住エリア(禁域)への一般人の立ち入りは固く禁じられています。
資料館の展示や記録から明かされる修道女たちの生活は、聖ベネディクトの戒律である「祈り、かつ働け(Ora et Labora)」を忠実に体現したものです。
朝はまだ暗い午前3時30分の起床から始まります。1日に7回捧げられる「聖務日課(公祈禱)」、聖書を読む「読書(レクチオ・ディヴィナ)」、そして農作業や手作業による「労働」が分刻みのスケジュールで組まれています。食事は質素な菜食が中心で、私語は厳しく慎まれ、夜8時の就寝後は翌朝まで完全な沈黙を守る「大沈黙」の時間に入ります。外界の情報が瞬時に飛び交う現代において、100年以上変わらぬリズムで静寂と祈りを守り続ける姿は、訪れる人々に深い感銘を与えています。