西部邁が遺した衝撃の警告!混迷の日本を貫く国家観と思想の真相
西部の歩みは、常に知的な共同体に対する激烈な異議申し立ての連続だった。かつて全学連の若き指導者として熱狂の渦中に身を置きながら、やがて左翼運動の欺瞞を誰よりも早く見限った。経済学者として東京大学教授の座に就きながらも、大学自治の形骸化や人事の不条理に抗議してあっさりと辞表を叩きつけた事件は、学界とメディアに巨大な衝撃を与えた。
特権的な象牙の塔を飛び出した彼が挑んだのは、現代社会を覆う「大衆化」の病理である。ホセ・オルテガの洞察を血肉化し、自著『大衆への反逆』において、自制心と歴史感覚を失った大衆が民主主義を暴走させる危険性を鮮烈に描き出した。多数決が常に正しいとは限らない。むしろ衆愚政治への防波堤として、歴史と伝統に裏打ちされた「良識」こそが必要なのだという独自の政治哲学は、感情論が支配する現代のネット社会を痛烈に告発している。