学力は遺伝で決まる?母親の知能説の真偽と行動遺伝学が明かす新事実

学力は遺伝で決まる?母親の知能説の真偽と行動遺伝学が明かす新事実について知っておくべき 事実を厳選して解説いたします。

ネット上で定期的にバズを生むトピックの一つに、「知能を司る遺伝子はX染色体に乗っているため、母親から男児に遺伝する」という言説があります。結論から言えば、この「母親のIQ遺伝説」は完全な科学的誤謬です。

この誤解が広まった発端は、1990年代半ばに海外の研究グループが発表した「知能障害に関連する遺伝子がX染色体に複数見つかった」という報告を、一部の一般メディアがセンセーショナルに歪曲して報じたことにあります。常染色体上の無数の遺伝子が組み合わさって形成される知能の仕組みを無視し、「知能=X染色体=母親由来」という短絡的なストーリーに仕立て上げられたのが真相です。

人間の認知能力や知能に関わる遺伝子は、特定の染色体だけに偏って存在するわけではありません。何千、何万もの遺伝子座(ポリジーン)が複雑に相互作用して発現する多因子遺伝です。父親由来の精子と母親由来の卵子から均等に染色体を受け継ぐ以上、遺伝的な寄与度に性差による偏りは存在せず、父親からの影響も等しく受け継がれます。

渡辺 美咲

渡辺 美咲

ガジェット&アプライアンスライター

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