相撲の女人禁制はなぜ続く?神事と穢れの歴史や議論の真相を徹底解説
現代において、この女人禁制の原則が社会規範と激しく衝突した代表的な事例が2つ存在します。
1つ目は、2000年に当時の大阪府知事・太田房江氏が求めた「知事賞の土俵上授与」の拒否問題です。太田氏は女性初の大阪府知事として、大相撲春場所の優勝力士に土俵上で直接トロフィーを手渡したいと相撲協会に要望しました。しかし協会側は「伝統の継承」を理由にこれを拒絶。土俵下での表彰か、男性副知事による代読を求め、最終的に太田知事は土俵下での授与を余儀なくされました。
2つ目は、より深刻な生命の危機に関わる事態として世界中に報じられた2018年4月の「舞鶴巡業救命騒動」です。京都府舞鶴市で行われた春巡業の土俵上で、挨拶を行っていた市長がくも膜下出血で突如倒れました。客席にいた看護師の女性らが即座に土俵に上がり、迅速な心臓マッサージなどの救命処置を実施した際、若手行司が館内アナウンスで「女性の方は土俵から降りてください」と複数回繰り返したのです。
この対応は「人命救助よりも伝統儀礼を優先したのか」と国内外から苛烈な批判を浴びました。直後に当時の八角理事長が不適切なアナウンスであったとして公式に謝罪し、「人命救助に関わる緊急事態においては女人禁制を適用しない」という判断を明確に示しましたが、協会の危機管理意識とジェンダー感覚のズレを露呈する象徴的な出来事となりました。