魔球ジャブラニの真相!なぜブレる?本田の伝説Fkと現在のプレミア価格
南アフリカ先住民族のズールー語で「祝杯」や「歓喜」を意味する2010年南アフリカW杯 公式球として登場したアディダス ジャブラニ。開発元のアディダスは当時、最先端の熱接合技術(サーマルボンディング)を駆使し、従来の32枚パネルから大幅に削減したわずか8枚の立体パネルで構成することで、歴史上最も真球に近いサッカーボールを完成させたと発表しました。
しかし、この「完全な球体に近づけすぎたこと」こそが、予測不能な軌道を生み出す最大の引き金となりました。サッカーボールは飛行中、後方に空気の渦(カルマン渦)を発生させます。パネルの縫い目や適度な凹凸があれば空気の流れが乱流となってボール表面に張り付き、後方の渦が対称に保たれて弾道が安定します。
ところが、ジャブラニは表面があまりにも滑らかで継ぎ目が少なかったため、無回転や低回転で放たれた際に空気抵抗が劇的に変化。時速約70km〜90kmというプロのシュートスピード域において、ボールの背後に発生する空気の剥離ポイントが左右上下に激しく移動し、意図しないナックルボール現象(ブレ球)が頻発することになったのです。
さらに開催地南アフリカの地理的要因も拍車をかけました。ヨハネスブルグなど標高1,000m〜1,700m前後の高地スタジアムでは気圧が低く空気が薄いため、空気抵抗が平地より約10%減少します。これによりボールの初速が落ちにくく、ゴール前で急激に変化して失速・急降下するという、現代の流体力学でも実証された特異な弾道が完成してしまいました。