側音化構音は自然に治る?原因と治し方を言語聴覚士が徹底解説【2026】

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側音化構音が生じるメカニズムを理解するには、健常な発音における「舌の位置」と「呼気の通り道」を知る必要があります。

通常、日本語の多くの子音(特にサ行、ザ行、シ、チなど)を発音する際、舌の両側縁は上顎の奥歯(臼歯)の内側に密着し、舌の中央に細い溝(正中溝)が作られます。肺から送られてきた呼気は、この中央の溝を通って前歯のすき間から勢いよく前方に吹き抜けます。これにより、クリアで摩擦感のある破裂音や摩擦音が生まれます。

ところが側音化構音のケースでは、この空気力学的な力学構造が根底から崩れています。

  • 舌尖の挙上と正中閉鎖:舌の先端が上顎の硬口蓋や歯茎にべったりと押し付けられ、正面の出口が完全に塞がれてしまう。
  • 側方への気流の逸脱:行き場を失った呼気が、左右どちらか一方(あるいは両方)の奥歯と頬粘膜のすき間、口角の脇から無理やり吹き出す。
  • 唾液を巻き込む特有の雑音:息が口角側を通過する際、頬の内側を振動させたり唾液を巻き込んだりするため、「ジュ」「シュル」「ヒチャ」といった湿った潰れた雑音(スラッシュ音)が発生する。

臨床的にこの症状が最も顕著に現れるのが、「イ段」(い・き・し・ち・に・ひ・み・り)および「キ列」「シ列」「チ列」です。イ段の母音を発音する際、口腔内は舌が挙上して狭小化するため、少しでも舌の使い方が偏ると気流が横へ逃げやすい解剖学的特徴を持っています。そのため、「き」が「ち」や「ひ」の潰れたような音に聞こえたり、「しちじ(7時)」が判別不能な気流音になったりします。

原因としては、舌小帯短縮症や口蓋の形態異常、不正咬合といった器質的要因が関与することもありますが、多くは口腔周囲筋の使い方のアンバランスや、幼児期の吸啜様運動(おしゃぶりや指しゃぶり等の名残り)に起因する機能的要因です。「舌の真ん中を凹ませて前へ息を出す」という運動感覚のフィードバックが初期段階でうまく獲得できなかったことが、決定的な発症要因となります。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。