ナスカの地上絵が怖い理由とは?宇宙人説と生贄儀式の真相に迫る
ナスカの地上絵にまつわる恐怖論を語るうえで避けて通れないのが、斜面に描かれた通称「宇宙飛行士(The Astronaut)」と呼ばれる人型の地上絵です。標高差のある丘陵斜面に刻まれた全長約35メートルのこの奇妙な人型は、丸く膨らんだ頭部、異様に大きな両目、そして右手を空へ掲げ、足元にはブーツのようなものを履いた姿で描かれています。
1960年代後半、スイスの作家エーリッヒ・フォン・デニケンが著書『神々の戦車』の中で「古代ナスカの地上絵は地球外生命体の宇宙船が発着するための滑走路であり、この人型は宇宙服を着た異星人である」という古代宇宙飛行士説を提唱しました。このセンセーショナルな言説は瞬く間に世界中へ拡散し、オカルトブームとともに「人間外の知性に対する底知れぬ恐怖」を植え付ける発端となったのです。
ネットコミュニティ上では現在も「宇宙飛行士の絵を凝視していると呪われる」「夜間に発光している」といった都市伝説が語り継がれています。しかし、考古学界の調査によって、この人型は地球外生命体などではなく、紀元前400年から紀元前200年頃のパラカス文化後期からナスカ文化初期にかけて描かれた「神格化された人間」もしくは「フクロウの仮面を被った呪術師(シャーマン)」であることが判明しています。
儀式においてトランス状態に入ったシャーマンの姿を表現したものと推測されていますが、古代人が何を思い、なぜあのぎょろりとした大きな瞳を大地に刻みつけたのかという問いは、いまなお人々の好奇心と不気味さを刺激し続けています。