甲状腺機能亢進症の原因とは?動悸や体重減少の正体とバセドウ病の真実
甲状腺ホルモンが血液中で異常高値を示す状態を総称して「甲状腺中毒症」と呼びますが、その中身はバセドウ病だけではありません。甲状腺の組織が一時的に壊れてホルモンが漏れ出す「破壊性甲状腺炎」など、治療方針が正反対となる疾患が混在しているため、正確な鑑別診断が不可欠です。
甲状腺機能低下症との違いは、アクセルを踏み抜いているのか、ブレーキがかかりっぱなしになっているのかという「正反対のベクトル」にあります。低下症では寒がり、無気力、便秘、体重増加、むくみといった症状が現れますが、亢進症では暑がり、興奮、下痢、体重減少、頻脈が生じます。同じ甲状腺の病気であっても、血液中の甲状腺機能亢進症の検査数値(遊離T3、遊離T4、TSH)を正確に測定しなければ、病態の真逆を見誤る危険があります。
特に見落としてはならないのが、無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎との判別です。これらは「細胞が壊れて中に溜まっていたホルモンが血中に溢れ出ているだけ」であるため、ホルモン合成を抑える薬を投与しても全く意味がありません。血液検査でTRAbを測ることで、合成過剰のバセドウ病なのか、破壊漏出の一過性炎症なのかを客観的に切り分けることが診断の絶対条件となります。