放送禁止すれすれの怪異が残した爪痕――2026年、なぜ私たちは「姉 畑 支 遁」という劇薬に惹かれ続けるのか
アイヌ語で「性交」を意味する言葉を連呼し、ヒグマとの究極の交わりを求めて暴走したあのシークエンス。悪趣味の極致に見えながら、そこには奇妙な神聖さすら漂っていた。人間が生態系の頂点に君臨しているという傲慢を粉砕するかのように、巨大なヒグマの暴力性の前にあえなく散っていく結末は、どこか寓話的ですらある。
杉元佐一たち一行が呆然と見守るなか、夜の森に響き渡った銃声と断末魔。あの異様な幕切れを思い出すとき、読者はただ嫌悪感を抱くだけでは終わらない。自らの欲望の純度を極限まで高め、結果として自然の巨大な力に押し潰された男の散り際に、一種の凄惨なカタルシスを見出してしまうからだ。