追い越しと追い抜きの違いとは?進路変更と左側通過の違反境界線を徹底解明
日々の交通現場では、どのような形でトラブルや違反が生まれているのでしょうか。高速道路交通警察隊の元隊員や、年間走行距離4万キロを超える長距離トラッカーたちの証言から、リアルな走行実態を検証します。
最も取り締まり件数が多く、かつドライバーの不満が噴出しやすいのが、高速道路の追越車線を巡る攻防です。本来、道路交通法第20条が定めるキープレフトの原則に基づき、車両はもっとも左側の車両通行帯(複数車線ある場合は追越車線以外の走行車線)を走らなければなりません。追越車線はあくまで追い越しのために一時的に利用する通行帯です。
ところが、追越車線を法定速度未満、あるいは制限速度ぎりぎりで延々と走り続ける「フタをする車」に遭遇した際、後続車がイライラを募らせて左側の走行車線へ移動し、前車の前に回り込む光景が散見されます。
現場を走る物流ドライバーはこう語ります。「追越車線が詰まっているとき、左の走行車線へ移って加速し、前走車のノーズの前に割り込むように戻っていく車を毎日見かけます。あれは完全に左側追い越し違反(追越しの方法違反)です。パトカーや覆面パトカーが後方にいれば、一発で赤色灯が回る典型的なパターンです」。
ここで極めて重要なのが、走行車線からの追い抜きとの違いです。左側の走行車線を制限速度の範囲内で走行し続け、結果として追越車線を走る遅い車の横を通り過ぎて前に出ただけであれば、進路変更を伴わないため違反には問われません。しかし、前車を抜いた直後に再び追越車線へ戻れば、それは「左側からの追い越し」とみなされ、道路交通法第28条第1項違反が成立します。