越権行為とは?職権乱用やパワハラとの決定的な違いと法的責任の真実

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Q1:社員が越権行為を行った場合、会社は一発で懲戒解雇にできますか?
A1:日本の労働契約法(第16条)において解雇権の濫用は厳しく制限されており、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない解雇は無効になります。初回の軽微な越権行為でいきなり懲戒解雇にすることは極めて困難です。まずは「口頭注意」「けん責」「減給」などの段階的な処分を行い、再三の指導にもかかわらず故意・重大な背信行為として巨額の損害を与えた場合に限り、重い懲戒処分が有効と判断されるのが一般的な司法判断の枠組みです。

Q2:他部署の管理職から業務指示を受けた場合、従わないと業務命令違反になりますか?
A2:原則として業務命令違反にはなりません。労働契約上の指揮命令権は、就業規則や組織規程に基づき正当に権限を付与されたライン(直属の上司など)から発せられる必要があります。管轄外の他部署の上司には法的な指揮命令権が存在しないため、その指示は「越権行為」となります。ただし、無用なトラブルを防ぐため、独断で無視するのではなく「直属の上司に確認・指示を仰ぎます」と毅然と対応するのが現場実務上の鉄則です。

Q3:部下が良かれと思ってやった越権行為で会社に損害が出た場合、本人に全額弁償させられますか?
A3:全額を社員個人に賠償させることは、判例上ほぼ不可能です(茨石事件などの最高裁判例)。労働者が行った業務上の過失による損害について、会社は事業から利益を得ている(報償責任の原則)以上、損害の公平な分担が求められます。裁判所は、損害発生に対する会社の管理監督責任、本人の地位や年収などを総合的に考慮し、個人への請求限度額を損害額の「数%〜最大でも2割程度」に制限するのが通例です。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。