デパ地下の王道が直面した「2026年の静かな激変」:なぜ私たちはこれほどまでにエビとアボカドの誘惑に抗えないのか
銀座の老舗百貨店のデパ地下。平日の午後6時、惣菜コーナーには長い列ができていた。ショーケースの最前列を陣取るのは、100グラムあたり680円のプライスカードが掲げられたサラダだ。決して安くはない。むしろ2年前と比べれば、確実に2割は高い値付けである。
それでも売れる。飛ぶように売れるのだ。
「他の揚げ物や煮物を削ってでも、これだけは買って帰るお客様が多いんです」と、大手デリカテッセンのチーフバイヤーは苦笑交じりに明かす。色彩心理学において、ピンクとグリーンの組み合わせは「鮮度」と「安らぎ」を同時に想起させる補色関係にある。だが理由はそれだけではない。口に入れた瞬間の、エビの弾力ある歯ごたえとアボカドの脂肪分が舌の上で溶け合うコントラスト。この咀嚼の快感こそが、他のいかなる葉物サラダにも代替できない「主食級の満足感」を生み出している。