自転車の鍵紛失時の壊し方と安全な開け方|交番や自転車屋の費用も検証
インターネットの掲示板や動画サイトでは、緊急時の裏技として「傘の骨の先端を鍵穴に差し込んで回す」「マイナスドライバーを叩き込んで力任せに回す」といった手法がまことしやかに語り継がれています。しかし、自転車整備の第一線に立つ現場スタッフは一様に警鐘を鳴らしています。
まず、自転車の鍵壊し方と傘の骨の真相を検証すると、この手口が通用したのは昭和後期から平成初期に普及していた簡素な「板状キー(プレスキー)」のプレス式リング錠に限られます。薄い金属板を押し込んで内部のバネ付きプレートを押し下げるだけの旧型構造であれば、平たく加工した傘の骨で代用できた時代もありました。しかし、現在流通している自転車の9割以上は、ピンシリンダー式やウェーブキー、ディンプルキーを採用しています。複雑な段差とピンの噛み合わせでロックされている現代のシリンダーに異物を無理に突っ込めば、傘の骨が内部で破断して鍵穴を塞ぎ、プロの鍵開け業者ですら開錠不能に陥る最悪の事態を招きます。
さらに危険なのが、マイナスドライバーによる開錠リスクです。鍵穴にドライバーを金槌などで力任せに打ち込み、てこの原理でシリンダーごとねじ切ろうとする行為は、内部タンブラーをグチャグチャに変形させるだけで開錠には至りません。それどころか、過度なトルクが車体後部のバックホーク(フレーム)や後輪のスポークに直接伝わり、フレームの歪みやスポークの折損を引き起こします。鍵交換だけで済むはずだった出費が、後輪ホイール全体の組み直しやフレーム交換となり、1万5,000円から2万円以上の修理代に跳ね上がるケースが後を絶ちません。