スローライフとは単なる田舎暮らし?憧れの裏に潜む後悔と現実の真相
スローライフを語る際、しばしばセットで語られるのが自給自足生活への憧憬です。自らの手で米を作り、無農薬野菜を収穫し、太陽光でエネルギーをまかなう――絵に描いたような循環型生活ですが、農業のプロではない一般人がこれを成立させるのは並大抵のことではありません。
実際に畑を始めると、肥料代や農機具のメンテナンス費、シカやイノシシによる深刻な獣害対策ネットの設置費用がかさみます。スーパーで野菜を買った方が圧倒的に安上がりだったという皮肉な現実は、就農支援の現場でも日常茶飯事です。食の完全自給をゴールに設定することは、精神的・肉体的な自滅を招きかねません。
そこでいま、現実的な落としどころとして確固たる支持を集めているのが二拠点生活デュアルライフです。
平日は利便性の高い都心で仕事をこなし、週末だけ地方の拠点へ移動して土に触れる。あるいは月の半分ずつを都市と地方で分ける生活スタイルです。この形態であれば、都会の安定した収入基盤や医療アクセスを手放さずに、自然の恩恵だけを純粋に享受できます。いきなり退路を断って一世一代の移住を決行するのではなく、生活の「ポートフォリオ」を分散させる手法こそが、現代に即した賢明な防衛策といえます。