高知弁「たっすいが」の意味とは?ビールCmの真相と土佐人の魂を解剖

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「たっすいが」という局地的な方言が全国区の知名度を獲得した最大の要因は、1990年代初頭に展開されたキリンラガービールのご当地プロモーションにあります。当時、日本のビール市場は他社から登場した「ドライビール旋風」によって激震に見舞われており、キリンビールの看板商品であった伝統の苦味とコクを持つ熱処理ビール「キリンラガー」は、シェア防衛のための強力な戦略を迫られていました。

そこで白羽の矢が立ったのが、全国屈指の酒豪県として名高い高知県でした。総務省統計局の「家計調査」を見ても、高知市は1世帯あたりの酒類・ビール消費支出額において常に全国最上位争いの常連であり、県民の酒に対するこだわりと舌の肥え方は他県を圧倒しています。広告を手掛けた制作チームは、高知市内の居酒屋やひろめ市場の前身となる酒場に通い詰め、地元の飲兵衛たちが交わす生の会話を丹念に採集しました。

その際、カウンターの常連客が口にした「最近の流行りの酒は軽すぎて、たっすい」「あんな水みたいなもんは飲めん」という憤りを伴う一言から誕生したのが、あの「たっすいがは、いかん!」というキャッチコピーでした。高知県内限定で街頭看板やポスター、テレビCMが投下されると、県民からは「よくぞ言ってくれた」「わしらの味覚をそのまま言葉にしてくれた」と熱狂的な支持を獲得。キリンラガーは高知市場において圧倒的なシェアを守り抜き、地方限定広告の最高峰として全国のクリエイターに衝撃を与えました。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。