なぜ清少納言は秋は夕暮れと叫んだのか?カラスを愛でた真意と文法解剖

なぜ清少納言は秋は夕暮れと叫んだのか?カラスを愛でた真意と文法解剖の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。

ここでは学校の定期テストや大学入試、学び直しで必須となる『枕草子』第一段「秋」のテキストを徹底分析します。細部の助詞や用言の活用を正しく押さえることで、文意の解像度は格段に跳ね上がります。

【原文】

秋は夕暮れ。夕日のさして山の端(は)いと近うなりたるに、烏(からす)の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて、雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。

【精緻な現代語訳】

秋は夕暮れが良い。夕日が鮮やかに射して山の端にとても近くなったころ、カラスが自分のねぐらへ帰ろうとして、三羽四羽、二羽三羽と急いで飛び去っていく様子までもがしみじみと心にしみる。さらには、雁などが列を作って飛んでいるのが、遠くとても小さく見えるのは、実に趣深い。日がすっかり沈んでしまってから聞こえてくる、風のざわめきや虫の鳴き声などは、もはや言葉で言い尽くせないほど素晴らしい。

【重要語句と品詞分解の徹底解説】

テスト対策で失点を防ぐために把握しておくべき文法上の急所は、以下の5点に集約されます。

1. 「近うなりたるに」
「近う」は形容詞「近し」の連用形「近く」のウ音便。「なり」はラ行四段動詞「なる」の連用形。「たる」は存続・完了の助動詞「たり」の連体形。「に」は接続助詞(〜のとき、〜のところ)。「すっかり山の端に近づいた状態で」という完了・存続のニュアンスを読み取ることが肝要です。

2. 「飛び急ぐさへ」
「さへ」は添加の副助詞で「〜までも」と訳します。ただ飛ぶだけでなく、「寝床へ帰ろうと急いでいるその姿までもが」という意味を強調しており、出題頻度が極めて高いポイントです。

3. 「あはれなり」
ナリ活用の形容動詞「あはれなり」の終止形。「しみじみと心打たれる」「情趣が深い」を意味し、客観的な面白さを表す「をかし」との対比として機能しています。

4. 「まいて雁などの連ねたるが」
「まいて」は副詞で「ましてや、その上」の意。「連ね」はナ行下二段動詞「つらぬ」の連用形(現代語の連ねる)。「たる」は存続の助動詞。「が」は主格の格助詞(〜が)。「まして雁などが列を作っているのが」となります。

5. 「日入り果てて」「言ふべきにあらず」
「入り果てて」は動詞「入り果つ」(すっかり沈みきる)の連用形+接続助詞「て」。「言ふべきにあらず」の「べき」は可能または当然の助動詞「べし」の連体形、「なら」は断定の助動詞「なり」の未然形、「ず」は打消の助動詞の終止形です。「言うまでもない」「言葉で表現できるものではない」という慣用表現です。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。