肺性心とは?肺疾患が心臓を蝕むメカニズムと初期症状・最新治療法

肺性心とは?肺疾患が心臓を蝕むメカニズムと初期症状・最新治療法について押さえておきたい ポイントを分かりやすい構成で解説いたします。

慢性肺性心が初期に見落とされやすいのは、胸部レントゲン写真だけでは右心室の初期病変を捉えにくいという診断上の障壁があるためです。右心室は胸骨の真裏に位置するため、肥大しても正面からのレントゲン像では影が隠れがちになります。

ここで臨床現場の武器となるのが、肺性心の心電図所見です。右心房や右心室に物理的な負荷がかかると、心電図の波形には明瞭な電気的サインが現れます。

【心電図に現れる決定的な異常所見】

  • 肺性P波(高尖P波):II、III、aVF誘導において、P波の高さが2.5mm(0.25mV)以上に尖って高くなる。これは右心房の負荷・拡大を意味する。
  • 右軸偏位:心臓の電気軸が右側(+90度〜+180度方向)へ傾く。肥大した右室筋の影響を示す。
  • V1誘導の高R波とV5・V6誘導の深いS波:通常は左室優位で小さいはずのV1誘導のR波が大きくなり(R/S比>1)、右室肥大を証明する。
  • 不完全または完全右脚ブロックパターン:右心室への刺激伝導が遅延する。

さらに現在では、非侵襲的な心臓超音波(心エコー)検査によって、右心室の拡大度合いや三尖弁逆流圧較差(TRPG)から肺動脈収縮期圧(推定値)を迅速に計測できます。血行動態を直接評価する右心カテーテル検査を行えば、平均肺動脈圧が20mmHg以上(2026年改訂の世界的な肺高血圧症診断基準に基づく)に達しているかどうかが確定します。息切れを訴える高齢患者に対し、呼吸機能検査だけでなく心電図と心エコーを組み合わせるルーティンがいかに重要か、臨床データは雄弁に物語っています。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。