2026年、熱帯夜を切り裂く極彩色の叫び――気候危機の最前線で変わりゆく琉球列島と、私たちがまだ知らない「南国の色」
初夏、沖縄を代表する樹木といえばデイゴ(梯梧)をおいて他にない。鮮やかな深紅の花が、燃え盛る炎のように枝先を染め上げる。沖縄県民にとって、デイゴは単なる県花ではなく、魂の象徴だ。しかし今世紀初頭、デイゴヒメコバチという外来種の微小な害虫が侵入したことで、島中の巨木が一斉に枯死の危機に瀕した歴史がある。
一時は全滅すら囁かれたデイゴの並木だが、2026年の現在、樹幹注入剤の開発や市民ボランティアによる徹底的な保全活動が実を結び、各地で再び力強い赤を取り戻しつつある。だが、現場の樹木医たちに油断の色はない。「一度崩れたバランスを取り戻すには、人間の何倍もの時間と執念が必要になる」。名護市内でデイゴの保護を続ける樹木医は語る。
沖縄の伝承では、「デイゴが見事に咲き乱れる年は、巨大な台風がやってくる」と言い伝えられてきた。凶兆と吉兆のあわいに咲く真紅の巨木。その樹皮に刻まれた無数の傷跡は、自然の猛威と闘い続けてきた島そのものの姿に見える。