グランメゾン東京で玉森裕太が見せた覚醒と木村拓哉が認めた真価
『グランメゾン東京』における平古祥平というキャラクターの造形は、全キャストの中でも群を抜いて複雑でした。かつてパリの名門「エスコフィユ」で見習いとして尾花夏樹に師事しながらも、日仏首脳会談で起きたアレルギー混入事件の当事者となってしまった過去。その重すぎる十字架を背負いながら、ホテルのビュッフェレストランで妥協とプライドの狭間に苦悩する青年の姿を、玉森裕太は過剰な芝居を排した引き算の演技で見事に具現化しました。
業界内でも特に高く評価されたのが、台詞のない場面における「視線」と「佇まい」の説得力です。尾花に対する憧れ、畏怖、そして取り返しのつかない事態を引き起こしてしまった自責の念。それらが入り混じった複雑な心理を、わずかな表情の硬直や震える指先で表現し、物語のサスペンス性を牽引しました。視聴者が思わず感情移入してしまう人間味を与えたことこそが、グランメゾン東京における玉森裕太の演技力の評判を決定づけた最大の要因です。