なぜ大人になっても怖いのか?トラウマ級に背筋が凍る絵本名作の深層

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近年、ネットの掲示板やSNSで最も物議を醸した作品の一つが、ふくべあきひろ作、おおたぐろまり絵の『たべてあげる』です。好き嫌いの多い男の子「りょうた」の前に、ピーマンやにんじんを代わりに食べてくれる小さな分身が現れます。一見すると子どもの悩みを解決するファンタジーのように見えますが、物語は途中で恐ろしい変貌を遂げます。

嫌いな食べ物を食べさせ続けた結果、小さな分身はどんどん巨大化し、本物のりょうたは小さく縮んでいきます。そして迎える結末の真相――それは、「分身がりょうたの生活・家族・人生を完全に奪い去り、本物が暗闇に置き去りにされる」という乗っ取りホラーの構造です。しつけ絵本の体裁を装いながらサイコホラーの深淵へと突き落とす展開は、大人の読者すら戦慄させました。

こうした不条理の系譜は、昭和のトラウマ絵本にも脈々と受け継がれています。千葉県・延命寺所蔵の地獄絵巻をベースにした『絵本 地獄』(宮次男 監修)は、嘘つきや親不孝者が受ける凄惨な拷問描写を生々しく描き出し、昭和後期から平成初期の子どもたちを震え上がらせました。教訓の域をはるかに超えた過剰な視覚表現と、人間の業を剥き出しにするリアリズムは、昭和の児童書文化が持っていた強烈な熱量と毒気を物語っています。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。