地球1周分の山道を歩く生死の行法——現代人が今「千日回峰行」の静寂に惹かれる理由
近年普及したマインドフルネスや坐禅は、ストレス軽減や作業効率の向上を目的とすることが多い。しかし、千日回峰行の目的はそこにはない。自己の欲望や執着を完全に削ぎ落とし、自己と自然、そして宇宙との境界を消し去ることにある。
行者は、道中で出会う木々や岩、すべての生き物に礼を捧げながら歩む。そこには「自分を良く見せたい」という自己承認の欲求すら入る隙間はない。歩くこと自体が祈りであり、生きることそのものが修行となる状態。この徹底した自己否定の先にある自己解放こそが、ビジネス的なマインドフルネスとは一線を画する点だ。