さんまのブラックデビル誕生秘話|高田純次代役から天下を取った全真相
『オレたちひょうきん族』の看板コーナー「タケちゃんマン」がスタートした1981年秋、ビートたけしの敵役として最初にキャスティングされていたのは、当時劇団東京乾電池で頭角を現していた高田純次でした。高田演じる初代ブラックデビルは、不気味かつナンセンスな怪人として番組初期の異様な熱気を支えていました。
転機が訪れたのは1982年初頭のことです。高田純次が急性虫垂炎(腹膜炎)を発症し、緊急入院を余儀なくされました。土曜8時の熾烈な視聴率競争の真っ只中、収録現場に敵役が不在という絶体絶命の危機に直面したチーフプロデューサーの横澤彪やディレクター陣は、その場にいた26歳の明石家さんまに白羽の矢を立てました。
当時の制作スタッフの手記や回顧録によると、横澤プロデューサーの指示は「さんま、ちょっとこのスーツ着て入ってくれ」という極めて大雑把なものだったと記録されています。高田純次の体型に合わせて作られた特注スーツを無理やり着込まされたさんまは、台本に書かれた怪人らしいセリフを演じるのではなく、窮屈さへの不満や楽屋裏の愚痴、たけしに対する容赦ないツッコミをマシンガントークでぶちまけました。この予定調和を完膚なきまでに破壊した即興劇がスタジオを爆笑の渦に巻き込み、視聴者からの反響も凄まじかったことから、高田の復帰後もそのままさんまが怪人役を引き継ぐことが決定しました。