君の名は。Bgm徹底解説|劇中歌と名シーンが共鳴した秘密と全曲一覧

君の名は。Bgm徹底解説|劇中歌と名シーンが共鳴した秘密と全曲一覧の全貌を丁寧に掘り下げてご紹介します。

本作の音楽制作における最大の特異点は、新海誠監督とRADWIMPSのフロントマン・野田洋次郎氏が築き上げた、従来の商業映画の慣例を打ち破る「共犯関係」にありました。公式インタビューや当時の制作手記によると、プロジェクトの発端は2014年秋、プロデューサーの川村元気氏を介して新海監督から野田氏へ熱烈なオファーが送られたことに遡ります。

新海監督は当初から「音楽が言葉以上に登場人物の心情を語る映画」を目指しており、単なる主題歌の提供ではなく、劇伴全体のトータルプロデュースをRADWIMPSに打診しました。映画劇伴の作曲経験が一切なかった野田氏は当初戸惑いを見せたものの、新海監督から渡された初期プロットに強く共鳴し、制作期間1年半以上に及ぶ壮絶な音創りがスタートしました。

制作現場では、脚本を読んだ野田氏がデモ音源を新海監督に送り、新海監督はそのメロディや歌詞に触発されて脚本のセリフや展開を書き換えるという、双方向の創作が日常的に行われました。例えば、物語の根幹を成す「かたわれ時」の着想や、劇中の心理描写のトーンには、野田氏が紡ぎ出したデモ音源の音像が直接的な影響を与えています。新海監督が「洋次郎さんの音楽を聴いて、書くべきセリフが決まった」と述懐する通り、音楽が映像の下請けになるのではなく、対等な演出の主語として機能した稀有な事例です。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。