伏線の狙撃手・浅倉秋成が仕掛ける心理戦!映像化の先に見た新境地
SNS全盛の世相を痛烈に風刺した小説『俺ではない炎上』もまた、出版業界を大いに震撼させた傑作である。ある日突然、無実の罪でネット上の「悪魔」に仕立て上げられた男の逃亡劇。指先ひとつのクリックで個人が社会的に抹殺されていく恐怖を、これ以上ないスピード感とリアリティで描いてみせた。
読者は主人公の焦燥と怒りを追体験させられながら、同時にネットリンチに加担する大衆の醜悪さに己の姿を重ねて戦慄する。心理サスペンスとしての純度の高さと現代的な批評性を見事に両立させた本作は、現代ミステリの到達点として高く評価されている。