養殖漁業と栽培漁業の違い徹底解説!「育てる」水産の落とし穴
養殖の歴史を語るうえで外せないイノベーションがある。近畿大学が半世紀近くの歳月をかけて結実させた「近大マグロ完全養殖プロジェクト」だ。従来のマグロ養殖は、海で捕獲した天然の幼魚(ヨコワ)をいけすに入れて太らせる「蓄養」が主流だった。しかし、これでは天然資源の減少に歯止めがかからない。
プロジェクトを率いた家戸敬太郎教授らの執念は、人工孵化させた親魚から卵を採り、再び人工孵化させて次世代を育てる完全なサイクルを完成させた。天然資源に一切頼らない持続可能な養殖の成功は、世界の水産業界に大きな電撃を与えた。現在ではクロマグロにとどまらず、クエやウナギといった難関魚種への応用が進み、日本の水産業を「獲る漁業」から「生み出し育てる産業」へと脱皮させる決定的な足がかりとなった。