江川事件の「空白の一日」と電撃トレード!巨人と阪神の密約を暴く
1978年11月20日。冷たい秋風が吹き抜ける東京の片隅で、日本球界を揺るがす奇策が決行された。
翌日に控えたプロ野球ドラフト会議のわずか24時間前、読売ジャイアンツは江川卓との入団契約締結を突如発表した。世に言う「空白の一日」である。当時の野球協約では、前年のドラフトでクラウンライターライオンズから指名されていた江川の交渉権が切れるのは「ドラフト前日の午前零時」とされていた。一方、新年度のドラフト対象者となるのは「ドラフト会議当日」から。つまり、その間の1日だけ、江川はいかなる球団の支配下にもない「完全な自由契約選手」になるという解釈を読売側が法的に導き出したのだ。
ルールの隙間を突いた電撃調印。読売サイドが用意周到に準備した法律論理の前に、世論と球団関係者は凍りついた。ルールブックの文字面だけをなぞれば合法かもしれない。しかし、戦力均衡を目的として創設されたドラフト制度の理念を真っ向から踏みにじる行為だった。球界の秩序は一瞬にして崩壊の危機に瀕した。