東京駅丸の内駅舎の歴史と見どころ|辰野金吾の意図とドームの謎を解剖
東京駅丸の内駅舎を訪れた際、誰もが足を止めて見上げるのが南北の八角形ドーム天井です。地上約28メートルの高さに広がるドーム空間には、創建当時の意匠を精密に蘇らせた石膏彫刻やレリーフが所狭しと配置されています。見上げる者を圧倒するこの空間には、辰野金吾の遊び心と緻密な意図が込められていました。
ドームの八隅を見上げると、そこには十二支のうち「丑(北東)」「寅(東)」「卯(東)」「辰(南東)」「巳(南東)」「午(南)」「未(南西)」「申(南西)」という8匹の干支が、方角に合わせてレリーフとして鎮座しています。しかし、ここで一つの疑問が浮上します。「なぜ十二支のうち4つ(子・卯・午・酉、あるいは子・酉・戌・亥)が足りないのか」という点です。
長年、謎とされていた「残る4つの干支(子・卯・午・酉)」の所在ですが、2013年の調査によって驚くべき事実が判明しました。辰野金吾の故郷である佐賀県武雄市の「武雄温泉楼門」(1915年完成・国指定重要文化財)の2階天井に、東京駅に存在しなかった「子(北)」「卯(東)」「午(南)」「酉(西)」の4干支が木彫りで彫られていたのです。東西約1,000キロ離れた2つの近代建築を合わせることで、初めて完全な「十二支」が揃うという仕掛けは、建築界のみならず歴史愛好家の間でも大きな話題を呼びました。