ハイムリック法の正しいやり方と禁忌|妊婦・乳児Ngの理由と救命法
救命救急の現場で医師や救急救命士が一様に口を揃えるのが、「喉から物が取れた後の受診の徹底」です。喉の異物がポンと飛び出し、本人が「ああ、助かった、もう大丈夫」と呼吸を再開したとしても、決してそこで処置を完了させてはいけません。
ネット上のQ&AコミュニティやSNSでは、「餅が詰まったがハイムリックで取れたのでそのまま様子を見た」という体験談が散見されます。しかし、ハイムリック法受診理由として最も警戒すべきは、処置に伴う体内外傷、いわゆるハイムリック法肋骨骨折合併症や腹腔内臓器損傷の隠れた進行です。
ハイムリック法は、成人男性であっても相当な力でみぞおちを突き上げます。この衝撃によって、以下の合併症が遅れて顕在化するケースが医学論文等でも多数報告されています。
- 肋骨骨折および胸骨骨折:突き上げ時の圧力や角度のズレにより、骨折やヒビが生じる。
- 肝破裂・脾破裂・胃破裂:瞬間的な腹圧の上昇により、実質臓器や消化管に亀裂が入り、徐々に腹腔内出血が進行する。
- 縦隔気腫・気胸:気道内圧の急上昇によって肺胞や気道粘膜が微小断裂を起こす。
受傷直後はアドレナリンの分泌により痛みを自覚しにくく、数時間から半日経過した後に激しい腹痛や血圧低下、ショック状態に陥る事例があります。そのため、ハイムリック法を実施した(あるいは受けた)場合は、異物が完全に取れて元気に見えても、速やかに救急外来や消化器外科を受診し、CT検査や超音波検査で腹部・胸部の異常がないか精査を受けることが必須となります。