世界が再発見したシティポップの歌姫・桑名晴子、魂の歌声と現在地
彼女の音楽的バックボーンを語る上で、実兄であるロックスター、故・桑名正博の存在を欠くことはできない。名家として知られた桑名家で育った二人は、幼少期からアメリカのR&Bやブルース、ロックに囲まれて育った。兄が放つ圧倒的なカリスマ性とワイルドなロック・スピリットに対し、妹の晴子はしなやかで包容力のあるソウル・フィーリングを開花させていく。
互いの才能を誰よりも深く認め合っていた兄妹の関係は、単なる家族の枠を超えた音楽的共鳴で結ばれていた。兄のステージへの客演や楽曲制作でのコラボレーションにおいて、二人が交わした視線とグルーヴは唯一無二だった。正博が旅立った後も、晴子の歌声の中には兄と共に呼吸したソウルの残り火が確かに宿り続けている。