名曲プカプカの歌詞と安田南の影|西岡恭蔵が遺した切ない真実
この楽曲の構造は驚くほどシンプルだ。「タバコをプカプカ」「酒をグビグビ」「男とパコパコ(ネンネ)」という、日常の赤裸々な行動をリフレインさせながら、奔放な女性の生態をスケッチしていく。一見するとコミカルで退廃的な描写に見えるが、歌が進むにつれて浮かび上がってくるのは、語り手である「おいら」の一途で不器用な片思いだ。
どれほど周囲に男がいようと、どれほど自堕落に見えようと、「おいら」は彼女の自由を縛ろうとはしない。最後のヴァースで提示される「あたいと一緒に 舟に乗っかって さすらいの旅にでも出ないかい」という呼びかけに対し、彼女はただ笑って煙草を吹かすだけだ。この距離感こそが『プカプカ』の真骨頂である。所有できない他者への無条件の肯定と、叶わない旅への憧憬が、カラッとしたフォークロックのビートに乗って胸に迫る。