辻希美「辻 チャンネル」が証明したSns時代の生活美学――なぜ彼女の日常は10年以上日本中の共感を集め続けるのか
かつてブログ文化の全盛期において、彼女の投稿一つひとつがネット上で苛烈な議論を巻き起こしていた時代があった。しかし、メディアの主舞台がテキストや写真から動画へと移行するにつれ、彼女に対する世間の評価は驚くべき好転を見せた。編集の手が入らない、あるいは意図的な切り取りができないYouTubeという尺の長い動画空間こそが、彼女の持つ愚直なまでのタフさと底抜けの明るさをありのままに証明する結果となったのである。
朝5時からの弁当作り、山のような洗濯物との格闘、そして子どもたちの声が響き渡るリビング。演出された「丁寧な暮らし」への疲弊感が漂う現代社会において、彼女が見せる「必死で泥臭い本気の日常」は、多くの人々にとって救いとも言えるコンテンツとなった。画面越しに伝わる過密スケジュールとそれを笑顔で乗り切るバイタリティは、多忙な現代人の心を打つパワーに満ちている。