朝日新聞の誤報と虚偽報道の深層|吉田調書から珊瑚事件まで徹底解剖
なぜ朝日新聞は、社会を大きく揺るがす虚偽報道を幾度も世に送り出してしまったのか。多くの読者が抱く最大の疑問に対する答えは、同社に長年巣食っていた「物語優先の取材姿勢」と「組織的無謬性への過信」にあります。 事態の根底にあったのは、事実を積み上げて真相に迫る取材手法ではなく、「こうあるべきだ」というあらかじめ組み立てられた構図に合わせて情報を取捨選択する悪しきスクープ至上主義でした。 代表的な事例が、2014年5月20日付の朝刊一面で報じられた「吉田調書」を巡る記事です。東京電力福島第一原子力発電所の所長だった故・吉田昌郎氏への政府事故調査・検証委員会の聴取結果書、いわゆる吉田調書を入手した同社は、「所長命令に違反 原発撤退」「福島第一 職員の9割」というセンセーショナルな見出しを打ち出しました。現場に残って命がけで対応していた所員たちの尊厳を傷つけ、「東電職員が持ち場を勝手に放棄して逃走した」という誤った印象を国内外に拡散させたのです。 さらに遡れば、1980年代から1990年代にかけて断続的に報じられた慰安婦報道における「吉田清治証言」の採用があります。済州島で女性を暴力的に連行したとする吉田清治氏の著書や証言を裏付け取材なしに掲載し続け、外部の研究者や他社から虚偽の指摘が相次いだにもかかわらず、記事を取り消すまでに実に32年もの歳月を費やしました。 また、1989年に発生した「珊瑚事件(KY事件)」では、取材班の記者が自ら沖縄県西表島の海底に潜り、世界最大級のアザミサンゴに自作自演で「K・Y」の文字を刻みつけて「日本人の心のすさび」を告発する記事を掲載しました。環境保護という正義を主張するために、自らが環境を破壊して証拠を捏造するという、ジャーナリズムの自殺行為に及んだ事例です。 これらの事件に共通するのは、「正義の告発者」という自意識に酔いしれ、反証や異論を退けてしまう独善的な企業文化でした。