赤伝票とは?黒伝票との違いや発行理由・インボイス対応を徹底解説

赤伝票とは?黒伝票との違いや発行理由・インボイス対応を徹底解説について重要なポイントを解説いたします。詳細な分析をお届けします。

経理の実務において最も重要なのが、「赤黒処理(あかくろしょり)」と呼ばれる訂正手順の理解です。取引の修正を行う際、単に差額だけを調整するのではなく、「元伝票の全額取消(赤)」を行ってから「正しい内容の再登録(黒)」を行うという2段階のプロセスを踏むのが会計実務の鉄則です。

ケーススタディ:110,000円の売上を88,000円に修正する場合

例えば、A社に対して本来「88,000円(税込)」とすべき売上を、誤って「110,000円(税込)」として黒伝票を起票・確定してしまった事例を想定します。

ステップ1:当初の誤った起票(黒伝票)

【借方】売掛金 110,000円 / 【貸方】売上高 110,000円

帳簿上、売掛金と売上高が110,000円計上されています。

ステップ2:誤計上を完全に打ち消す(赤伝票の発行)

【借方】売掛金 ▲110,000円 / 【貸方】売上高 ▲110,000円
(※または逆仕訳:【借方】売上高 110,000円 / 【貸方】売掛金 110,000円)

マイナスの赤伝票を当てる、あるいは借方と貸方を反転させた仕訳(逆仕訳)を切ることで、ステップ1の取引を合算して帳簿残高を「ゼロ」にリセットします。

ステップ3:正しい金額で新たに計上(新たな黒伝票)

【借方】売掛金 88,000円 / 【貸方】売上高 88,000円

これで帳簿上は「当初の誤り」「取消の履歴」「正しい計上」の3つのレコードが整然と残り、第三者の会計監査人がチェックしても不正や隠蔽がないことが証明されます。

差額22,000円の赤伝票を1枚切るだけではダメなのか?

実務に慣れていない担当者から「差額である22,000円のマイナス赤伝票を1枚だけ切れば、計算結果は同じ88,000円になるのではないか」という疑問がよく出されます。 計算上の残高は一致しますが、この「差額処理」は推奨されません。なぜなら、商品名や数量、適用税率の内訳が分からなくなり、後から監査が入った際に元伝票との照合が極めて困難になるからです。特別な事情がない限り、「全額を赤伝票で落としてから、正しい黒伝票を起こし直す」という赤黒処理を徹底することが、内部統制を健全に保つ基本ルールです。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。