世界が溺れた「背徳の脂」――2026年も止まらない『Butter』旋風と、柚木麻子が暴いた女たちの飢餓感
読み終えたとき、読者の心に残るのは梶井への断罪の感情ではない。むしろ、自分自身が抱えてきた「正体不明の空腹」に対する困惑だ。私たちは何を恐れて、食べたいものを我慢してきたのか。誰に認められたくて、自分を削り続けてきたのか。
柚木麻子が投げかけた問いは、時を経るごとにその鋭さを増している。バターをたっぷりと塗ったトーストを躊躇なく口に運ぶこと。それは罪などではなく、この不条理な世界で自分を見失わないための、もっとも原初的な防衛策なのかもしれない。最後のページを閉じた瞬間、猛烈に腹が減る。その空腹こそが、私たちが生きている確かな証なのだ。 (出典: バター 柚木 麻子(Yahoo!ニュース))
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