北町貫多とは何者か?西村賢太との違いや実話の真相・秋恵との愛憎劇
北町貫多シリーズを語る上で欠かせないのが、同棲生活を送った彼女・秋恵(あきえ)の存在です。『小銭をかぞえる』や『歪んだ朝』などの作品群では、彼女との泥沼の同棲生活が克明に描かれています。
秋恵は貫多の貧困と偏屈さに耐え、献身的に尽くそうとする女性でした。しかし、貫多は彼女の些細な言動に浮気や裏切りを疑い、理不尽な暴言と暴力を浴びせてしまいます。激高して手を上げた直後、泣き崩れて土下座し許しを請うという、典型的な共依存関係が繰り返されました。
愛しているからこそ傷つけ、失うことを恐れるあまり破壊してしまう。貫多の不器用すぎる愛情表現は、最終的に秋恵の心身を限界まで追い詰め、破局へと向かわせます。この秋恵との凄絶な愛憎劇は、人間の業を描いた私小説の極致として、シリーズ中でも屈指の評価と読者の共感・戦慄を集めています。